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第1期③ 旦那が倒れてから心臓が止まるまで

旦那を引き留める夢を見てから、不思議なものを見た。
眠る旦那を見ていたら、旦那の左手が2重に見えた、というか左手を上げようとしてエネルギー体だけが浮いた?みたいな感じ・・・次は、右肩で同じことが起こった。
起き上がろうとしてるんじゃないか?そう感じて、思わず「そうよ!頑張って!!身体に戻って!起き上がって!!」と声を掛けた。

実は、この現象を見るのは旦那で2度目なのです。
1回目は、叔母のとき。もう最後だと連絡を貰って、叔母に逢いに行ったときのこと。
「遅くなって、ごめんね~!会いに来たよ!(^^)」とあえて明るい声で言ったとき、叔母の顔が2重に見えた。
叔母の半透明の顔がにっこり笑ってくれたのだ。
思わず私も微笑み返した。
だけど、次の瞬間には叔母の苦しそうな現実の顔が見えた。
不思議なこともあるものだ・・・

私は、旦那に音楽を聞かせることにした。
曲は、旦那のPCに入っていた音楽を弟にお願いしてスマホにダウンロードしてもらい、耳元で再生して聞かせた。
SUPERNATURALというドラマで使われた曲が多かった。

私は、面会時間ルールを緩和されていた。
遅い時は23時頃に旦那に逢いに行ったし、早いときは朝は8時頃に逢いに行っていた。
本来ならダメなんだけど、看護師たちが大目にみてくれたのだ。
勿論、朝礼時や勤務交代の夕礼時は、自主的に退室していたけど。

昼間は、ずっと旦那の側にいることが多かったから、看護師たちがモニター上で旦那の状態を説明してくれたり、「旦那さんの身体を拭きますか?きっと奥さんが触れてくれたら、旦那さん喜ぶような気がする。」と声をかけてくれた。
嬉しかった。
けど、チューブやら点滴の針やら刺さっている場所は特に綺麗にしないと、そこから体内に雑菌が入って大変なことになることもあると聞いたので、プロに任せることにした。

旦那の手がむくみ始めたため、結婚指輪を外すと言われた。
なんか・・・悲しかったけど、仕方がない。
この指輪は、旦那がこれがいいって決めたもの。
看護師は、指輪を無くさないよう小さな袋にいれて、旦那の側に置いておいてくれた。
嬉しかった。

担当医からこれからどうするか?
つまり、延命措置するかどうかの判断を迫られた。
ただ延命措置をしても、目覚める可能性は低く、いつまでもつかも分からないとのこと。

私に延命するか決めさせるのか?
私に、君を殺せというのか!!!
自分の命やろ!自分で決めなさいよ!!
私に、こんなこと決めさせるなよ!!!

眠る旦那に私は泣きながら言った。
当然、返事は無かった。

旦那の両親や弟さんは、延命させず早く楽にしてやりたいと言った。
私は、彼らの気持ちを配慮したいと伝えた。
延命措置をしないと決まった。

次の日、旦那に逢いに行った。
旦那の体温が下がり始めていた。手が冷たくなっていた。
私は、とうとう耐えきれなくなった。

「手が冷たい!こんなのダメ!!延命措置をして!!!私はまだ準備が出来てない!お願い!私はまだ旦那を失えない!」

旦那にしがみついて泣きながら看護師に言った。
延命措置が開始された。
旦那の両親も弟さんも、何も言わなかった。

目覚める可能性は、0じゃない。

旦那の夢をみた。
真っ暗闇の中、旦那と私が手を繋いで、一緒に散歩していた。
旦那は嬉しそうに笑ってた。

以降、旦那の心臓が止まるまで毎日、旦那に逢いに行った。
面会時間外も看護師はこっそり旦那に会わせてくれた。
「お願い、頑張って!諦めないで!今の医学では治せない。治せるのは、君自身だけ。頑張って!!」
そう話し掛けながら・・・

不意に旦那の声が聞こえたような気がした。
「やるべきことをして。俺はまだ大丈夫。」

何のことか分からなかったけど、とりあえず考えてみた。でも分からない。
けど今思えば、状況が勝手に動いていったって感じ。
旦那の会社から電話が掛かってきて、旦那が生きている今のうちにしておいたほうが良い手続きがあると言われた。
抵抗があった。それは、旦那の死を想定してのことだったから。
「気持ちは分かる。でも、万が一の為だ。自分らも死ぬなんて思ってない。あとで、笑い話になるよ。ホントにダメかと思って焦って手続きしたよって。」

とても感謝してる。
このとき、私を説得してくれた会社の人に。
そして、旦那に・・・

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